argius note

プログラミング関連

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

ふらっと立ち寄った本屋で、売れ筋が陳列されている棚の第4位になっていた。id:argius:20060328:1143556603が第5位になっていたので目にとまった。さわりを読んで見ると面白そうなので買ってみた。
科学的話題について、とても分かりやすく書いてある。著者は東大物理学科卒で、ミステリー作家でもある。そのためか、科学についての説明もしっかりしているし、かつ読みやすい文章で構成されている。飛行機はなぜ飛ぶのか、の話から、科学の歴史的経緯、哲学との関係、宗教との関係などを交えて進んでいく。最近話題になっている、冥王星についても書いてあった。
つまるところ、科学で100%解明されているものはひとつも無い、事象の科学的な説明はすべて仮説の上に成り立っている、ということを書いている。それどころか、人間の日常生活においても同様のことが言えると書いている。これは「常識」と呼ばれている。科学と日常生活の違いは、日常生活の常識は簡単には覆せないが、科学はそれが当然であるということなのだ。当然というのは、科学は「常に反証可能なもの」であり、反証によりその理論が覆された場合は、何のためらいもなくそれに従うということである。これは、科学が科学であることの証明でもあり、インチキ科学や宗教まがいの理論との線引きでもある。
ちょっと自分で考えてみる。仮説とは、固定していない土台のようなものである。そして、その上にまた仮説が積み重なっている。下の方ほど大仮説であり、覆ると革命になる。覆るほどではなく、ちょっと動かすだけなら、全体を動かさなくても済むかもしれない。固定してしまったら、ちょっと間違っていただけですべて作り直しになってしまう。しかし、固定していない不安定な土台に高く積み上げていくのは不安だ。だから人間は固定しようとする。これが固定観念ということかな。
ところで、一番驚いたのは、この本が「横浜ランドマークタワーが見える仕事場」で書かれたということ。私は今日たまたまランドマークタワーへ行ったのだ。それも10年振りに。