argius note

プログラミング関連

クロサギ (1)〜(11)

これも何かと話題の一品。最近、この手のはみんなドラマ化とかしちゃって、ちょっと辟易なんですが、内容が内容だけに興味深くはありました。
序盤は、キャラクターが全体的にぱっとせず、ヒロインとの絡みがあっさりしすぎ(どころか登場すらしない)で、感情移入できず。そのため、連続短編もの*1というより、オムニバス*2かな、と最初は感じました。主人公の必然性を感じなかったのです。
ちょっと面白くなってきたのは、2巻半ばで、主人公と似たような境遇をもつ男が登場したあたりから。いわば「ライバル」と言えるキャラクターが登場し、物語が締まってきます。それから徐々に、主人公が割と可愛くなってきて、ヒロインとの接触も増えてきます。やはり、主人公以外のキャラクターが個性的で魅力的であることは、漫画に限らず、物語の重要な要素と言えるでしょう。
コンピュータ関連*3では、ネットワーク犯罪関連の詐欺として、フィッシング詐欺(phishing)やファーミング詐欺(pharming)も一部とりあげています。本編ではそれほど大きくは扱われていませんが、巻末の解説文などで補完されています。技術的な情報より、どういった犯罪なのかといったところが焦点となっています。
詐欺の事例については、半分以上は既知のものでしたが、知っているだけじゃ防げないということも良く分かりました。肝心なのは、「価値を自分で見極める」ということ。自分自身に明確な判断基準がない人は、詐欺に対する免疫が薄いと考えられます。土地、株、宝石、ブランド、美術品などは、分からないなら手を出さないのが賢明でしょう。
また、法律の隙間を利用したり、人間の感情を巧みに利用する詐欺もありますが、これらは人間の良心を弄ぶ、許し難いものです。それに対応するには、相応の知識が必要です。法律には穴もありますが、国民を守るものだってちゃんとあるのですから、全てを否定せず、また投槍にならずに慎重に対処すべきです。とにかく、人任せにしていることは危険であることを認識しておくことです。知らなかったでは済まされないこともあります。
私は一般の方々とは趣を異にする価値観を持っています。簡単に言うと「変わり者」ですので、こういう問題に遭遇しにくいのですが、それに安心せず、気をつけたいと思います。

*1:一般的な呼称は知りませんが、「ブラックジャック」「名探偵コナン」などの、日常は小さな事件が個々に発生し、その合間に長編要素が絡む形式で、主人公には最終的な目標があるものを指す。最終話が最後の敵との戦いになる(と思われる)という点では、コナンの方が近いかな。

*2:ここでは「世にも奇妙な物語」「Y氏の隣人」「笑うセールスマン」などの、登場人物が全く異なるか、同じでもパラレルワールドのものを指している。それぞれの話が時間的な関連を持たない。同一のキャラクターは、いわば記号的な存在。

*3:敢えてIT関連とは呼ばない。