レベル7(セブン) (新潮文庫)
2006.04.03
宮部みゆきさんの作品は、「ドリームバスター」連載中のをちょっと読んだんだけど、そのときはしっくり来なくて、ちゃんと読まなかったんだよね。
じゃあ、なんで読むことになったのかというと、大沢在昌さんつながりで。「大極宮」の立ち読みをさらっと眺めていたら、なんとなく気になったのがこの「レベル7(セブン) (新潮文庫)」*1だったのです。で、実際に買いに言ったら、これまた分厚い。ページ数にして、風化水脈(id:argius:20060318:1142693350)とほぼ同じ。紙質のせいか、気持ち薄い。
読み始めはやっぱり違和感を感じた。しかしちょっと進んでいくと、だんだん引き込まれていったのです。
以下、ネタバレの可能性がありますので一旦締めますが、おすすめです。
記憶喪失の男女、二の腕に書かれた謎の文字と番号。そもそもタイトルからしてゲームに関係するのかな、と思った。宮部さんはゲーム好きのようなので、なおさらそう思って読んだが、それもわざとかな、と。
伏線と誤誘導が心地良い。そもそも、主人公やその周りの人間が、警察や探偵に直接関係する人物ではないところから、ミステリーなのかどうかさえ分からないまま読み進めていくと、だんだん焦点が絞れてきて、最終的に焦点が合ってくる。しかし、最後の最後まで話が展開して、結果を知った時点ではそれほど意外性を感じないながらも、読んでいる最中にはそれどころではなく、あちこち引っ張り回される。そんなテンポの良さが心地良い。
最後に「信じてたのに…」と裏切られるところで、読者として良い裏切りを与えられ、そしてエピローグへ。解説にあったが、彼女は終わりをしっかり書くという。私も話の結びがしっかり書かれているほうがほっとできるというか、クールダウンして、そして安心して現実に戻ってくることができるので、とてもありがたい。
そして、心地良い読後感。ページ数が多いのに、読み疲れることがなかった。一気に、でもないけど、ずっとテンションを維持できたというか。
また彼女の作品を読んでみたいと思いました。
*1:リンクはる時に知ったんだけど、セブンなのね。