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プログラミング関連

さいえんす? - 東野 圭吾

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東野さんの雑誌連載をまとめたエッセイ集。彼の本はマイナーなやつばかり読んでいる気がする。


題名は、科学に関連した話題をテーマにしようとしたエッセイだかららしい。実際は、科学とは関係ないものが大半だが、元技術者の感性で見て書かれたという点では、ちょっと科学的といえるかもしれない。
もちろん、作家としての経験や取材で得た情報も重要だが、なによりも「一本筋の通った考え」であることが伝わってくるような気がするのだ。この人ならこう言ってくれるはずだ、という期待に応えてくれるような感じ。


彼はスポーツが好きらしいので、オリンピックとか野球とかスキーとかの話題があったり、コンピュータやインターネットに関するテクノロジーや「理系」そのものの話題、疑似科学の話、温暖化や少子化などの社会問題を採り上げたりしている。
「数学は何のため?」とかは、勉強は何のため?にも通じると思うが、分かりやすい解答だと思う。
「四十二年前の記憶」は、HMVといえば...から始まる話だが、とても興味深い。というか話が上手いんだ。
「どうなっていくんだろう?」の、職人技術のデータ化(再利用可能にするため?)は、神経伝達情報を直に伝える技術があれば実現できるのかな。できたとしても、膨大な情報量なのだろうけど。


印象に残ったのは、「滅びるものは滅びるままに」に書かれている、DNAから絶滅した動物を蘇らせるという話題からのくだり。

仮に彼らを復活させられたとしても、彼らが生息できた小世界は滅んだままだ。

この一文を読んだときに、何だかとても悲しい気持ちになった。ここより前に、トキが保護されていた光景に物悲しさを感じたといっているんだけれど、この物悲しさを感じたような気がした。
もちろん(自分の中の)情報としては新しいものではないんだけど、感情で理解したのは初めてかもしれない。


もうひとつは、出版業界に関する話題。
音楽もそうだけど、作家にお金が入らないと最終的に作家がいなくなってしまう、という問題があると言われている。私は、絶版などで入手が難しいのは仕方が無いが、そうでない場合は新品を買うようにしている。(だがこの問題とはあまり関係ない。)以前はあまりお金が無かったし、書店に無い場合は古本屋で見つかる場合も多かったので、今よりも多く利用していたが、Amazonのお陰でその辺の苦労から解放されている。
ただ、漫画喫茶は頻繁に利用する。漫画については、すべての本を買って保存しておくにはスペースが無いし、Amazonなどの通販だと手に入るまでに時間がかかる。書店は前述のとおり、希望のものを探すのに苦労する。売れ筋じゃなかったり、ちょっと古かったりするとなおさらだ。(古いのは、文庫で復刻したりするのでそれを利用しているが。)あと、やっぱり捨てるのは難しい。
これについては、「貸与権」のキーワードで以下のエントリが見つかったのでちょっと勉強中。漫画喫茶は貸与権が適用されないようです。
貸与権とマンガ喫茶 - Copy & Copyright Diary
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